墨付け作業が始まりました。
手板や図面に従って材木に墨で線をひいていくことを「墨付け」と言います。「墨」と言っても習字で使う墨は「にわか」が入っています。これでは、字を書いたり印をつけたりする「すみさし」(竹で作られた筆記道具)や長く線を引くための糸車が付いた「墨壺」の線は固まってしまいます。そのために墨に「にわか」が混ざっていないものを使います。現在では、細いボールペンを使うこともあります。
材木は生きていると言われるほど、乾燥すると動いて変形していきます。どう変形するかを見抜いて、適材適所に配置し、建築後の変形を最小に留めるのが腕の見せ所です。材木が育っていた頃の天地を見極め、縁起を担ぎ、根元同士を繋ぐ「別れ繋ぎ」を避けて、末と根元を繋いで「送り繋ぎ」や、末同士を繋ぐ「出合い繋ぎ」とします。
墨付けで一番気を付けることは、刻む人に解りやすく正確に印を付けることです。墨付け仕事が出来る人は、畳の向きから瓦の割り付けまで解っている「棟梁」級の人です。
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