「手板(ていた)」について
プレカット加工が一般的になった現在では少なくなりましたが、大工さんの作業の中で、最初にするのが「手板」を作る事です。
そして、この写真が今回の住宅の手板です。これをもとに建てていきます。
紙に書いた図面では現場で使っているうちに、何度も書き加えたり、汚れたり破損したりして読めなくなってしまいまうので、以前は杉の板に墨で書いていました。今はボールペンで厚みが4ミリの合板などに書いています。
基本的には木工事に必要な事しか書き入れません。例えば材木を繋いでいる位置寸法とか、どちらの材が上になっているとか、持ち出し寸法がいくらかとか、梁がどちらの方向に伸びているかを書き足して行きます。また、特別大きな梁や丸太のような太さが一定でない材を使用した時には、上下あるいは東西南北どちらの方向に、材寸が基準墨から、いくら振れているかを記して行きます。設計図面では描ききれない細部まで記録して行きます。
後日点検や修理が、万一発生した時に役立ちます。家をお引き渡しする時に、屋根裏に残したりして置くと、設計図書には書いていない事がわかるので便利です。
上棟の時に鳶の頭(かしら)は手板を見て、何処から最初に建てて、次に何処を建てれば良いかの順番も分かるので、材料と職人を配置してゆきます。



コメント
コメントを投稿